【0101】『プロフェッショナル』
ある分野について、専門的知識・技術を有していること、あるいは専門家のこと。
もう5、6年前から散髪は千里丘駅前の1,000円カットの店に通っていますが、
初めて利用した時のお話しになります。
店内に入ると、カットしていた若い女性店員さんが私のほうを振り返って、
「当店のシステムはご存知ですか?」と爽やかな笑顔で尋ねられるので、
「いいえ、初めてなのでわかりません。」
「そこの自動券売機でチケットを買って、そちら側に並んでくださいね。」
女性店員さんに言われるがままに、“1,000円札以外使用できません!”と
大きく書かれた券売機でチケットを買い、列の最後尾に並びました。
店内を見渡すと彼女の他にもうひとり、背がスラっと高く細身で、白髪交じりの
ロン毛を後ろで束ねた、どう見ても私より年上の、年の頃50代半ばの男性が
忙しそうにしています。
“なんか変なオーラを出しているなぁ・・・。”などと、ひとりで感心していると、
「どうぞ。」とその男性の低い声が。
いよいよ私の順番が回ってきました。ひそかに若い女性店員さんを希望して
いたにもかかわらず、残念ながら(笑)彼に案内されて、がっくり肩を落として
いると、「どないしますのん?」と無愛想に聞かれました。
「え~っと、全体に4、5センチ、レイヤー気味にカットしてください。」
すると、「素人のくせに、専門用語なんかつこうたらあかんで、ほんま。」と彼。
“えっ、専門用語ってそんな大そうな・・・。”(心の叫び)
「それにやな、だいたい意味わかって言うてんのんかいな、あんた。」
そして、長々とレイヤーカットの説明を聞かされたあげくに彼が一言。
「おたくの髪はレイヤーになってるよ。」
イラっときている私を尻目に今度は、「4、5センチって、4センチなん?
5センチなん? 4センチと5センチじゃ天と地ほどの差があるで。」
またしても、敵対心むき出しでツッコミを入れてきます。
“もうこんな店いやや。はよ帰りたいわ・・・。”(心の叫び)
それから、私の細かい説明を聞くやいなやとたんに手際よくカットしていく彼。
「はい、終わったよ。クシいるんやったら持って帰ってや。」
この店ではカットに使ったクシはサービスで貰えるんだそうです。
ふて腐れて閉じていた目をそっと開けてみると、自分のイメージ通りで
最近には無いほどのなんとも素晴らしい出来栄えでした。
「上手やね、ありがとう。」
「当たり前やん、プロやで。」
たかだか1,000円のカットとはいえ、彼のプロ根性には敬服したのでした。
なんでもできないと生き残れない世の中になりつつはありますが、
どんな世界でもいいので、ひとつの道をとことん極めて、
“プロフェッショナル”に徹することはやはり素晴らしいことですね。